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6月30日号 THF Communication No.290

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■■        THF Communication !!      
■                         <No.290>
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◆ What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

□田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム
~LDLとHDLは悪玉と善玉か?~

LDLは体内で合成(一部、摂取)したコレステロールを肝臓から末梢細胞/組織へ運ぶ正経路、
HDLは逆に末梢細胞/組織から肝臓へ運ぶ/運び戻す逆経路であり、どちらも良い悪いという
ものではないと思われます。
アテローム血栓性梗塞は、正経路でのコレステロール量が逆転送経路でのコレステロール量を
持続的に上回る場合に発症しやすいと言われています。また、CETP(コレステリルエステル転送蛋白)
によって経路間のコレステロールの移動も行われるため、脂質(特にコレステロール)代謝については、
まだ詳細がわかっていない代謝経路もあるようです。
脂質分画はHDL、LDL、VLDL、カイロマイクロンの4分画に分けられていますが、
それぞれの分画は超遠心法の4個の密度分画に依拠しているため、別々の種類に感じるものの、
実は連続的であって多くの中間(混合型)分画が存在します。
この広範囲な代謝過程を悪玉・善玉に2分割するのは強引と言わざるを得ません。
要するに、血液中を代謝されながら移動するコレステロール量が問題であり、
それがアテローム血栓性梗塞の原因と考えられます。
コレステロールは食事からの摂取量というよりは体内での合成量が問題であり、
体内での合成量は遺伝的に決まっている部分が大きいことから、
減少させるには生合成回路の酵素量などを薬剤にて調整する必要があると言えます。

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◆ Academic News ◆
【JAMA Network Open】
歩行時間および強度と慢性腰痛との関連を検討したノルウェーにおけるコホート研究。
20歳以上の11,194人(平均年齢55.3歳)を平均4.2年間追跡し、加速度計で評価した歩行の時間
および強度と新たな腰痛発生との関連を検討した。その結果、歩行時間が1日78分未満の群と比較して、
78~100分であると腰痛発生リスクは0.87倍、101~124分だと0.77倍、125分以上だと0.76倍であった。
強度についても、3.0メッツ未満の群と比較して、3.00~3.11メッツの群で0.85倍、
3.12~3.26メッツで0.82倍、3.27メッツ以上で0.82倍となった。
歩行の時間と強度を相互に調整した結果、歩行の強度よりも時間がより重要であることが示唆された。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2835297

【JAMA Oncology】
小児がんサバイバーにおけるBMIおよび身体活動とその後の腫瘍発生リスクとの関連を検討した。
1970年から1999年に21歳未満でがんと診断され、小児がんサバイバー研究に登録された25,658人を
2019年まで追跡した。BMIと身体活動量は自己報告で収集した。結果として、身体活動量が少ないと、
腫瘍の発生リスクは増加し、BMIで肥満と判定されると、腫瘍の発生リスクが増加した。
具体的には、身体活動量が週0メッツ・時の場合は腫瘍発生リスクが18.6%であったのに対し、
身体活動量が15-21メッツ・時の場合は10.9%であった。多変量調整した解析の結果、身体活動量が
週15-21メッツ・時であると臓器の腫瘍発生リスクが0.65倍(95%信頼区間0.52~0.83)となり、
肥満であると1.22倍(1.01~1.46)となった。
https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2835047

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◆気になる健康関連ニュース◆
□通いの場の多様なプログラムへの参加で健康状態高まる
住民主体の「通いの場」は、一般介護予防事業としてほぼすべての市町村が取り組んでいるが、
市町村によって介護予防効果に差があることが分かっている。
千葉大学予防医学センタープロジェクト研究員の森優太氏は、参加プログラムの種類の多さによって
予防効果に差があるかを分析した。日本老年学的評価研究(JAGES)の16年と19年の調査に参加した
高齢者のうち、通いの場の参加者は1070人だった。プログラムへの参加数は、1種類は547人、
2種類は251人、3種類以上272人だった。19年の基本チェックリストの合計点を
プログラム「参加なし」の者と比べると、要介護リスクが2種類では0.74点、
3種類以上では0.94点低かった。
森氏は「基本チェックリストで1点増加するとリスクが8%増加するとされている」とし、
「通いの場で様々なプログラムに参加することは高齢者の総合的な健康状態を高めることができ、
通いの場で複数のプログラムを企画・提供する必要性が示唆された」とした。

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◆ お知らせ ◆
□次号の発刊は、令和7年7月28日(月)です。
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気象庁より7-9月の3カ月予報が発表されました。
今年も全国的に暑さの厳しい夏となりそうです。
熱中症対策をしながら乗り切りたいです。

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