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5月27日号 THF Communication No.277

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■■■                        
■■        THF Communication !!      
■                   <No. 277>
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◆ What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

□田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム

~球技スポーツ活動中の心拍数と血圧と乳酸値~
球技スポーツ活動中は、持続時間や強度に依存して130~200拍/分くらいの心拍数、
4~12 mMくらいの血中乳酸値となることでしょう。サッカーやハンドボール、
バスケットボール、テニス、野球、フィギュアスケートなどでは、大部分の活動局面が
無酸素性と有酸素性の両運動の混合型なので、心拍数も乳酸値も上記の数値の
中央値あたりまたは上限値をとります。なお、運動時間が長引くにつれて、
心拍数は上昇しやすく、乳酸値はむしろ減少します。この意外な乳酸値減少の理由は、
短時間の無酸素性運動を繰り返しているうちに、有酸素性エネルギー供給機構が中心に
働く(ギアチェンジが起きる)からで、筋肉内での乳酸の産生が徐々に減少し、
それに伴い血液中の乳酸濃度も下がってきます。この際、血液中の乳酸が筋肉内で
再利用(酸化)されやすくなっているとも言えます。よって、競技時間が長引くほど、
筋パワー(瞬発力)の発揮が難しくなり、培われた持久力でもってスポーツ活動を
どうにか継続しているのです。

参考文献
田中喜代次ら:運動生理学大事典. 西村書店, 2017.
田中喜代次ら:最大酸素摂取量の重要性. 微研ジャーナル, 2023.

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◆ Academic News ◆
【British Journal of Sports Medicine】
持久性体力は罹患率および死亡率の強力な予測因子となる。システマティックレビュー
によって、9062件の論文が同定され、そのうち26のシステマティックレビューを用いて
検討した。これらのデータセットには、199のコホート研究に参加した2060万人の
データが含まれた。分析の結果、持久性体力が高いと、全死因死亡率、循環器疾患死亡率、
突然死死亡率、肺がん死亡率のリスクが低下することが一貫して認められた。
また、量反応関係についても、全死因死亡率、循環器疾患死亡率、突然死死亡率、
全がん死亡率で認められた。このことから、持久性体力を高めることの重要性が、
より強固なものとして示された。
https://bjsm.bmj.com/content/58/10/556.long

【International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity】
日本の311の地域に在住する高齢者43,088人を7年間追跡し、地域レベルの運動・
スポーツグループ参加割合と死亡率との関連を検討した。その結果、地域(≒学区)レベルの
運動・スポーツグループ参加割合が高いほど、個人レベルの参加状況や身体・心理・
社会的要因を調整しても、その地域に暮らす全高齢者の死亡率が低いことが示された。
具体的には、参加割合10%ポイントにつき、全死因死亡率のハザード比は0.89
(95%信頼区間0.83~0.95)、がん死亡率のハザード比は0.89(0.81~0.98)
(ハザード比0.89)と、それぞれ11%リスクが低かった。
https://ijbnpa.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12966-024-01592-9

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◆気になる健康関連ニュース◆

□ 熱中症特別警戒アラート運用開始
過去に例のない危険な暑さが予想され、重大な健康被害が生じる恐れがある場合に
環境省が発表する「熱中症特別警戒アラート(熱中症特別警戒情報)」の運用が
4月24日に始まった。熱中症特別警戒アラートは、今年4月1日に全面施行された
改正気候変動適応法によって創設されたものである。
本年度の運用期間は、4月24日から10月23日まで。熱中症警戒アラートは、
令和3年より環境省と気象庁が運用しているが、更に気温が高くなり、熱中症による
重大な健康被害が生じる恐れがある場合には、環境省から熱中症特別警戒アラートが
発表される。発表された場合は、よりいっそうの熱中症予防行動が必要とされる。

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◆ お知らせ ◆
□次号の発刊は、令和6年6月24日(月)です。
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6月になると間もなく梅雨入りですね。関東の梅雨入りは
例年6月7日頃だそうです。立夏は終わってしまいましたが、
梅雨前の過ごしやすい日々を楽しみたいと思います。

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