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12月25日号 THF Communication No.272

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■■■                        
■■        THF Communication !!      
■                   <No. 272

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◆ What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

□田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム

~無酸素性運動(anaerobic exercise)とは?~
直近の3回にわたって有酸素性運動について解説しました。今回は、
それと対極的な意味で使用される無酸素性運動について解説します。
無酸素運動という用語がよく使用されますが、無酸素性(anaerobic,
アネロビック)運動という表記が的を射ています。また、有酸素性運動
の代表として1時間ウォーキング、無酸素性運動の代表として100 m走
が例えられますが、ほとんど全てのスポーツ種目や日常の運動(労働)
は両者の混合型であり、二者択一できるものではありません。
有酸素性運動中は体内(気管支⇒肺胞⇒毛細血管⇒筋肉細胞)に4~5%
の酸素を取り入れており、無酸素運動の後半もしくは直後は3%程度の
酸素を取り入れているため、多酸素性運動・少酸素性運動と言うべきかも
しれません。
箱根駅伝を1時間余り一定ペースで走っている時の大半は有酸素性運動と
なりますが、次の走者にタスキを手渡すべくラストスパートをかけて
猛烈な勢いで走っている時には無酸素性運動の要素が多分に加わっています。
無酸素性とは、酸化的リン酸化反応が起きることなく、筋肉内に蓄積されている
クレアチンリン酸といった高エネルギーリン酸や糖(解糖系)を酸素供給と
無関係に利用し、それによってエネルギーが迅速に産生される状態を指します。
したがって、殆ど息を止めたまま100 mを全力疾走するアスリートもいます。
全力疾走で無酸素性エネルギー供給が滞るのは、350 mあたりと考えられて
います。

参考文献
田中喜代次ら:運動生理学大事典. 西村書店, 2017.
田中喜代次ら:最大酸素摂取量の重要性. 微研ジャーナル, 2023.

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◆ Academic News ◆
【British Journal of Sports Medicine】
加速度計で評価した身体活動量と座位時間と全死因死亡率との関連を、
4つの前向きコホート研究の個人データを用いて分析した。
4つのコホートは、ノルウェー、スウェーデン、米国で、11,989人を
中央値で5.2年間追跡した。解析の結果、中高強度身体活動時間(MVPA)が
1日22分未満で、座位時間が12時間以上であると、座位時間が8時間未満の群と
比較して、死亡リスクが高かった(ハザード比1.38、95%信頼区間1.10-1.74)。
座位時間が10.5時間未満であっても10.5時間以上であっても、MVPAが0分よりも
10分あったほうが、死亡リスクは低かった(ハザード比:10.5時間未満で0.85、
10.5時間以上で0.65)。
https://bjsm.bmj.com/content/57/22/1457.long

【Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports】
スペインの2つのコホート(3518名と3273名、60~96歳)で質問紙調査を実施し、
歩行/サイクリング/ガーデニング/DIY/スポーツ/家事の時間を尋ねた。
1つ目のコホートは平均11.6年間、2つ目のコホートは平均5.1年間追跡した。
分析の結果、歩行やガーデニング、スポーツ、家事は低死亡率(20%-46%)と
関連していた。中高強度の身体活動時間も低死亡率と関連していた(28%-53%)。
2-4年後の再調査時点でも身体活動を実施していなかった人を基準にすると、
歩行やスポーツ、家事を継続している人では死亡率が低かった(28%-53%)。
同様に、中高強度身体活動を継続している人でも死亡率が低かった(32%-36%)。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sms.14536

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◆気になる健康関連ニュース◆

□ 出生時体重が低いと生活習慣病リスク増

日本では、10人に1人が2.5 kg未満、100人に1人が1.5 kg未満で
生まれている。低出生体重児の割合は1980年から2000年に約2倍に
増加してから高止まりしており、1980年に生まれた世代は生活習慣病を
発症しやすい成人期後期に差し掛かっている。
出生時体重が3 kg台だった人と比較すると、40~74歳の成人期後期の
心血管疾患の罹患率は、1.5~2.5 kg未満の低出生体重児だった人で1.25倍、
1.5 kg未満の極低出生体重児だった人では、1.76倍と高いことが
国立成育医療研究センターの研究結果で分かった。
心血管疾患のリスクである高血圧の罹患率は、低出生体重児だと1.08倍、
極低出生体重児だと1.29倍、糖尿病でもそれぞれ1.26倍、1.53倍と
高かった。日本人で出生体重と生活習慣病との関連を調べたのは
初めてである。

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◆ お知らせ ◆
□次号の発刊は、令和6年1月29日(月)です。
□12/28(水)~1/3(水)は年末年始の休業です。
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今年最後の発行となりました。今年もありがとうございました。
皆さま良い年をお迎えください。

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