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1月30日号 THF Communication No.261

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■■        THF Communication !!      
■                   <No. 261>
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◆What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

□田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム
肥満者の減量を考える

1950年代には肥満児は健康優良児と表彰されました。当時は痩せ(るい痩)は
栄養不足の現れとの認識がありましたが、1970年代の高度経済成長に伴い、
欧米型の考え方が導入され、「肥満=万病のもと」と言われ始めました。
肥満とメタボリックシンドロームは別概念ですが、いつの間にか肥満=メタボ=
動脈硬化=心筋梗塞や脳卒中罹患というイメージを多くの国民が抱くかのように、
メディア啓発が展開されてきました。肥満や高コレステロールの中年世代では
心筋梗塞などに罹患する確率が数倍高いものの、肥満者の中には何も健康問題を
抱えない例もあります。また、痩身や低コレステロールの人でも心筋梗塞や脳卒中に
罹患する例もあります。肥痩度とコレステロールだけでは情報として不十分で、
最近になって代謝性健康肥満の存在が研究報告されるようになり、その一方で
高齢かつ痩身の人の体重減少の危険性(フレイル化)について警鐘が鳴らされています。
そんな中、今般、肥満改善のための薬を薬局で購入できるようになり、肥満や
高血糖に対しては生活習慣の改善を基軸とする啓発が大きくぶれてしまいそうです。
年齢・体質・心血管系リスクなどに関する個人差を考慮するまでにエビデンスが
整備されていないので、服薬希望者は慎重に熟考されることをアドバイスします。
肥満やメタボ対策としては従来より食事と運動の重要性が指摘されていますが、
多種多様の健康食品(サプリメント)も販売されています。また、医療界では
肥満改善に対して、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術がベストの方法だと強調されるように
なりました。このように、時代の移り変わりとともに、多種多様のアプローチが創出され、
国民は自分に合った情報の整理や選択に戸惑っている実情を遺憾に思います。

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◆ Academic News ◆

【Archives of Gerontology and Geriatrics】
高齢者4358名を対象に「一人で行う運動や仲間と行う運動は、どの程度実践されているのか」
および「どちらの運動が認知機能障害の抑制効果があるのか」について、4年間に
わたる追跡調査により検証した。その結果、高齢者がより多く実践しているのは、
一人で行う運動であり、週2回以上の実践者が4割を超える一方で、仲間と行う運動の
週2回以上の実践者は2割未満にとどまることが分かった。認知機能障害の抑制効果に
ついては、どちらの運動についても週2回以上の実践では、統計的な抑制効果が認められたが、
一人で行う運動(22%のリスク減)よりも、仲間と行う運動(34%のリスク減)の方が
より強い抑制効果を示した。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167494322002953?via%3Dihub
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20230112141500.html

【Nutrients】
システマティックレビューとメタ解析によって、肥満者の体重変化に対する
ウェブベース介入の有効性を検証するとともに、効果的な構成要素について検討した。
2つの論文データベースを検索し、最終的に採用された97件を質的に分析した結果、
ソーシャルサポート、行動変容に対するセルフモニタリング、アウトカム(体重)に
対するセルフモニタリングなどが、ウェブベース介入の有効な構成要素として抽出された。
また、そのうち51件の論文について量的に分析したところ、対照群と比較して、
ウェブベース介入の有効性が認められ、有効な構成要素として、個別化された情報提供と
専門家の助言の有効性が認められた。
https://www.mdpi.com/2072-6643/15/1/179
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20230118140000.html

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◆ 気になる健康関連ニュース ◆
□ メール等の交流のみでも抑うつ割合低下が明らかに

日本福祉大学大学院福祉社会開発研究科博士課程の福定正城氏らの研究により、
メールや電話、手紙などの非対面交流のみでも、交流がある人は孤立している人に比べて、
抑うつ状態になる割合が3~4割低いことが明らかになった。人との交流が対面・非対面を
合わせて週1回未満では、要介護状態に1.3倍なりやすいことが先行研究で明らかになって
いるが、福定氏は非対面交流でも健康に寄与するか否かを検証した。
本研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)が2019年に実施した調査に回答した、要介護認定
を受けていない高齢者2万2809人を分析対象とした。交流頻度により4群に分類し、
健康度自己評価と、抑うつ(GDS-15)を使い、各群の関係を比較した。
その結果、孤立型(対面非対面ともに週1回未満)と比較して、交流豊富型(対面非対面
ともに週1回以上)では、健康度自己評価で「あまりよくない/よくない」と回答した割合は
2~3割少なく、6割程度うつになりにくかった。非対面中心型(対面週1回未満・非対面
週1回以上)では、健康度自己評価は1~3割不良になりにくく、抑うつは3~4割少ない
結果となった。対面中心型(非対面週1回未満・対面週1回以上)では、非対面中心型の結果と
大きな差はなかった。この結果について福定氏は、「ウィズコロナ時代の孤立予防軽減策に
非対面交流が用いられる意義を示唆している」、「非対面交流は身体機能低下の影響を
受けにくいため、加齢による社会的ネットワークの縮小を防ぐ可能性をもつと考えられる」と、
非対面交流の活用に期待を寄せた。

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◆ お知らせ ◆
□次号の発刊は、令和5年2月27日(月)です。
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先週は、つくばでも初雪が降りました。大寒を迎え、この時季らしい寒さが続いていますね。
春が来るのが待ち遠しいです。

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