健康支援事業のコンサルティング会社

8月29日号 THF Communication No.256

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■■        THF Communication !!      
■                   <No. 256>
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◆What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

□田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム

血管迷走神経反射とは

採血を受けた時、稀にコロナワクチン注射を受けた時、多くは久しぶりに
激しい運動をおこなった直後などに、一気に気分が悪化して立っていられなくなる
ことがあります。我慢して立っていると、転倒して外傷を負うことになりかねません。
前駆症状としては、あくび、吐き気、顔面蒼白、ふらつき、歩行困難などの症状が出現します。
これは「血管迷走神経反射」という生体現象で、ヒトに備わっている生理的防衛反応の一種と
解釈されています。経験の浅い運動指導者や採血担当者にとっては、“何事が起きたのか”と
驚き、とっさに不必要な心臓マッサージやAEDによる電気ショックなどの心肺蘇生、さらには
救急搬送の対応が脳裏をよぎる人も出てくることでしょう。

血管迷走神経反射とは、心臓や血管の動きを調整する迷走神経(副交感神経の一つ)が
予期しない時に何らかの原因によって反射的に、かつ過剰に働いて心臓の動きが弱まり、
それに伴って心拍数や血圧が急激に(または徐々に)低下し、脳への血液供給必要量が不足する
状態を指します。脳への血液供給必要量の不足(いわゆる虚血・貧血)の程度によっては、
あっと言う間に(ほとんどが1~2分以内に発生、長くて15分程度で)失神に至る場合が
ありますが、血管迷走神経反射性失神の持続時間は1分以内と短く、頭部外傷などを除き、
後遺症は残らないとされています。失神の誘因は多種多様で、個人差がありますが、
日ごろ経験しない採血や注射のための針刺行為に伴う恐怖心の増大、運動負荷試験や糖負荷試験を
初めて体験したことによる過度の緊張や不安感の増大、著しい疼痛による恐怖心などが
主な共通原因です。100例中、1~2例の頻度で起きます。
次回は、具体的な対応策について解説します。

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◆ Academic News ◆

【Journal of Epidemiology】
日本人地域在住高齢者5,323人を5年間追跡し、座位時間と認知症発症との関連を
身体活動レベルごとに検討した。また、座位時間は能動的か受動的かで分けて分析した。
その結果、身体活動レベルが低く、能動的な座位時間が少なく、受動的な座位時間が多いと、
認知症発症が多く認められた。多変量解析の結果、能動的な座位時間は認知症発症を
抑制する方向に関連し、その関連は、身体活動レベルが高くても有意であった。
受動的な座位時間は、すべての身体活動レベルで、認知症発症と関連しなかった。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20210419/_article

【JAMA Internal Medicine】
推奨される身体活動を、週末にまとめておこなう「週末の戦士」と定期的におこなう人とで、
死亡リスクとの関連が異なるかどうかを検討した。米国における350,978人(平均年齢41.4歳)
を中央値で10.4年間追跡した。身体活動をおこなっていない者と比較して、週末の戦士の
死亡のハザード比は0.92(95%信頼区間:0.83~1.02)、定期的な人は0.85(0.83~0.88)
であった。このことから、身体活動量が同程度であれば、週末にまとめて実施しても、
分散して実施しても、どちらでもよいと結論づけられた。
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2794038

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◆ 気になる健康関連ニュース ◆

□ 10月1~7日は全国労働衛生週間

厚生労働省は、令和4年度全国労働衛生週間(10月1~7日)の実施要項を定め、
7月22日付けで都道府県労働局へ通知した。今年度のスローガンは、
「あなたの健康があってこそ、笑顔があふれる健康職場」が選ばれた。
同週間は、労働者の健康管理や職場環境の改善など、労働衛生に関する国民の
意識を高め、職場での自主的な活動を促して労働者の健康を確保することなどを
目的に、昭和25年から毎年実施しており、今年で73回目を迎える。
全国労働衛生週間を活用し、過労死等の防止を含めた長時間労働による健康障害の防止対策や
メンタルヘルス対策の推進、職場の感染防止対策の基本である「取組の5つのポイント」を
はじめ、職場における新型コロナウイルス感染症の予防対策の推進、病気を抱えた労働者の
治療と仕事の両立支援をサポートする仕組みを整備する。

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◆ お知らせ ◆
□次号の発刊は、令和4年9月26日(月)です。
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9月1日は防災の日です。日常的に非常食を食べて買い足し、常に新しい非常食を備蓄する
ローリングストックという方法があります。日常的に食べるのは難しいかもしれませんが、
賞味期限を定期的に確認し、古くならないうちに回転させたいと思います。

【発行】株式会社THF( support@thfweb.jp
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