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4月25日号 THF Communication No.252

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■■        THF Communication !!      
■                   <No. 252>
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◆What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

□田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム
前月号のAcademic Newsに対する見解

前号のAcademic Newsに、1日の歩数と全死亡率の関連を検討した
システマティックレビュー(Lancet Public Health)を紹介しました。
1日当たりの歩数が多いと、少ない場合に比べて死亡リスクが40~53%低く
なること、死亡リスク低減のために推奨される歩数は、60歳未満では
8,000~1万歩、60歳以上では6,000~8,000歩であることが示された
というものです。
身長が著しく高いと、また体重が著しく重いと短命であることは、
因果関係が成立しやすいため納得できます。一方で歩数は長期間での変動が
前者に比べて明らかに大きく、行動を表す指標であるために様々な規定因子により
左右され、来年、再来年には大きく変わる可能性があります。
上記の結果には因果関係が成立しにくく、介在因子の存在を考えねばなりません。
歩数が少ない人には、先天的または後天的な健康問題を抱えている例が多いのです。
健康問題があれば、必然的に歩数は減ります。これは背景要因、交絡要因であり、
多くの場合対象から除外、または統計的に調整、層別解析がなされます。
健康志向の高い人は食生活にも留意しながら歩数を確保しようと努めるからです。
そういった心がけを習慣化していなくても、生来的に心身機能が良好で
活発に動けることに起因して、生涯にわたり平均以上の歩数を確保している例も
あることでしょう。先天的に健康問題を抱えている人たちが歩数を増やした場合、
寿命が延びるか否かについてのevidenceは乏しいです。介入研究で死亡を
アウトカム設定するのは、相当な大規模かつ長期に追う必要があり、現実的に
かなり難しいです。もしくは余命いくばくもない集団に運動介入をするというのも
また現実的ではありません。私が知る限りは、ノルウェイにて70-77歳の高齢者に
5年間の運動介入(インターバルトレーニング)をしたところ、死亡率の低下は
みられなかったという報告があります。
こういった研究論文では、上記のような介在因子の影響を除去するようデータ解析
しているものの、質の高い縦断的RCT研究ではないため、結果は参考程度に受容するのが
良いでしょう。みなさん、歩数は6千~1万を目安に!

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◆ Academic News ◆

【JAMA Network Open】
身体活動量と要介護認知症との関連を検討した日本人を対象としたコホート研究。
50~79歳の43,896人(平均年齢61.0歳)を平均で9.5年間追跡した。
追跡期間中、5,010人が要介護認知症と判断された。身体活動量と要介護認知症の
発症との関連を検討した結果、総身体活動量および余暇身体活動量が多いほど、
男女ともに要介護認知症発症リスクは低くなった。追跡開始から早期の発症例を
除いた場合、総身体活動量と要介護認知症発症との関連は認められなくなった
(男性では7年以内、女性では8年以内の発症例を除いた場合)。しかしながら、
余暇身体活動量と要介護認知症発症との関連は、男性において、9年以内の発症例を
除いたとしても、余暇身体活動量が多い群では、有意に発症リスクが低かった。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2790484

【Lancet Public Health】
英国における移動制限のリスクが高い高齢者を対象に、ランダム化比較試験によって、
12ヵ月間の集団型運動指導(1時間を64回)と行動維持プログラム(45分を21回)
を提供することによる、24ヵ月間の下肢運動機能への有効性を検証した。対象者は、
平均年齢77.6歳の高齢者777人であり、介入群410人と対照群367人にランダムに
割り付けられた。対照群には、健康教育に関する教育セッションが3回、提供された。
下肢運動機能は、歩行、椅子立ち上がり、バランステストの3つの体力テストで
評価された。81%にあたる628人の24ヵ月後のデータが取得され、分析の結果、
対照群よりも介入群で、下肢運動機能の向上が認められた。
https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(22)00004-4/fulltext

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◆ 気になる健康関連ニュース ◆

□ 通いの場づくりで地域間の健康格差縮小へ

介護予防施策の一環で、各地で住民主体の通いの場づくりが推進されており、
参加者個人の介護予防効果の検証は進んでいるものの、地域全体の高齢者の
健康課題の解決に寄与しているかは分かっていない。そこで、神戸市と
日本老年学的評価研究(JAGES)は、要介護リスクを抱えた高齢者が
多く居住する地域で、重点的に通いの場の立ち上げや運営を支援する
「介護予防サロン推進事業」を通じて効果を検証した。
その結果、6年間の取り組みで、それらの地域に暮らす高齢者の社会参加や
友人との交流、サポートが豊かになり、さらには口腔機能、認知機能の低下や
うつのリスクを抱える高齢者が減少した。これにより、市内のそれ以外の地域
との間に見られていた健康格差が縮小・解消したことが分かった。
(筑波大学 報道発表)
https://www.jages.net/?action=cabinet_action_main_download&block_id=4030&room_id=549&cabinet_id=253&file_id=9978&upload_id=13480

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◆ お知らせ ◆

□次号の発刊は、令和4年5月30日(月)です。
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過ごしやすい気温になり、強い日差しが出るようになりました。
気になるのは紫外線ですが、4~9月に1年間の約70~80%の
ばく露があるそうです。ついつい忘れがちな春の紫外線対策、
今からしっかりとおこないたいと思います。

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