健康支援事業のコンサルティング会社

3月29日号 THF Communication No.239

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■■        THF Communication !!      
■                   <No. 239>
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◆ What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

□ 田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム

前回より紹介しているコレステロール値について、
第2回では、減量の影響とがんとの関係についてお伝えします。

【第2回】
5~10 kg(平均8 kg)も減量したにもかかわらず、3割の人で
コレステロール値が変化なし、または上昇する理由として、
(1)加齢(特に女性では更年期の影響)、
(2)健康的な生活習慣が形成され、コレステロールの合成が高まったこと、
(3)偏食の是正で脂質の摂取量が増えたこと、
(4)コレステロール値が高くなる性周期の時に測定した可能性があること、
(5)測定誤差、(6)その他、が挙げられます。
これらを鑑みて、コレステロール値の軽微な増減に一喜一憂せず、
大幅な増減があった場合には原因を探り、良質のリテラシーのもと、
自分の検査値と体調やライフスタイルの変化に注視していきましょう。
コレステロール値が数か月の間に、例えば250くらいから170くらいにまで
大幅に下降した場合、C型肝炎ウイルス感染、肝硬変や肝がんが
疑われることに留意が必要でしょう。

20~40歳台の若年成人では女性よりも男性でコレステロール値が高く、
40歳台後半あたりから男女逆転現象が起き、おそらく90歳を過ぎても
女性のほうが高いままでしょう。国立がん研究センターの調査研究によると、
がんの発生、特に大腸がんや進行性のがんの進展に伴ってコレステロール
値が低くなっています。また、コレステロール値が低いと、肝がん(男女)、
胃がん(男)が増える傾向にあるようです。
その一方で、コレステロール値が高いと、前立腺がん(男)が増える傾向に
あるようです。
次回(第3回)は、俗に言う善玉と悪玉について解説します。


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◆ Academic News ◆

【British Journal of Sports Medicine】
スウェーデンにおけるヘルスケアプログラムの長期的効果を検証した
22年間の追跡研究。少なくともひとつ循環器疾患の危険因子を持つ
5,761人が参加し、身体活動の増加、料理教室、体重減少、喫煙、
ストレスマネジメントのプログラムを受けた。対照群として、
34,556人のデータをランダムサンプリングし、傾向スコアで
マッチングさせ、比較した結果、循環器疾患イベント発生を
12%(95%信頼区間:5%~19%)、循環器疾患死亡を21%(11%~30%)、
全死因死亡を17%(11%~22%)低下させていた。
https://bjsm.bmj.com/content/54/21/1294.long

【Lancet Public Health】
30~79歳の中国人512,723人を10.8年間追跡し、28項目で
構成されるフレイル指数とその後の死亡率との関連を検討した。
その結果、フレイル指数0.1ポイントごとに、全死因死亡率の
ハザード比は1.68(95%信頼区間:1.66~1.71)となった。
この関連性は若年であるほど強く、50歳未満では1.95(1.87~2.03)、
50~64歳で1.80(1.76~1.83)、65歳以上で1.56(1.53~1.59)であった。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468266720301134?via%3Dihub

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◆ 気になる健康関連ニュース ◆

□ 花粉と大気汚染物質

毎年2~4月に発症する日本のスギ花粉症は、世界三大花粉症といわれ、
特に都市部では高い発症率を有する疾患となっている。スギ花粉症発症率の
増加要因は、戦後に植林されたスギが多くの花粉を飛散していること、
住環境の清潔化によりアレルゲンへの抵抗力が低下したことなどと共に、
大気汚染物質の増加も原因の一つとされている。スギ花粉に黄砂やPM2.5、
自動車排ガスなどの大気汚染物質が付着することで、スギ花粉の細胞壁に
亀裂等が生じ、そこから水分を吸収することで内部の細胞膜が膨張して、
最終的に破裂するという研究結果が出ている。破裂すると内部の細胞が
放出され、さらに細かい粒子となって体内に入るため、花粉症症状の悪化や
スギ花粉由来の喘息を引き起こす原因になると考えられている。
3月と4月は大気汚染物質を含んだ黄砂が最も多くなる季節なため注意が必要である。

参考資料
・埼玉大学工学部環境共存学科 
王青躍「スギ花粉エアロゾルって、どうなっているの?」
・気象庁「月別黄砂観測日数平年数 2020年」

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◆ お知らせ ◆

□ 次号の発刊は、令和3年4月26日(月)です。
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桜の季節となりました。桜を見ると卒業式、入学式や入社式、
お花見等のイベントが思い浮かばれます。終わりと始まりの季節、
心機一転、頑張ろうと思いました。

【発行】株式会社THF( support@thfweb.jp
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