健康支援事業のコンサルティング会社

2月22日号 THF Communication No.238

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■■        THF Communication !!      
■                   <No. 238>
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◆ What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

田中喜代次(THF代表取締役、筑波大学名誉教授)コラム

今回、掲載予定の内容を変更し、健康診断で気になる
「コレステロール値」の男女差と肥痩差を3回にわたり紹介します。

【第1回】 
某企業のアンケート調査結果によると、健康診断の結果で
最も気になるのはコレステロール(41%)でした。
では、コレステロール値は太ると上昇し、痩せると低下するのでしょうか?
コレステロール値は一般的に太ると上昇し、痩せると減少する、
運動でも減少すると信じられていますが、その真偽は不確かです。
たとえそれが正しくても、中年期には徐々に体重が増加する人も
少なくなく、コレステロール上昇に対して、体重(体脂肪)増加と
加齢(老化)のどちらがより強く影響しているのかを検討しなければなりません。
男性に比べて女性で加齢に伴うコレステロールの上昇が大きいのは、
コレステロールを肝臓に呼び込む(取り込む)役割を担っている
性ホルモン(エストローゲンなど)の分泌が減少するからです。
筑波大学田中研究室(1989-2018)の研究データ(図)によると、
男女とも肥満度とコレステロールに相関関係はまったく認められませんでした
(田中ら:日本健康運動看護学会誌, 2020)。

下図にプロットした全員が肥満または過体重ですが、
痩せの人やぽっちゃり体型の人にもコレステロール値300以上の
人が多く、むしろBMI≧35の高度肥満には300以上が少ない傾向に
あることを観察しています。図のデータに土浦市民やつくば市民の
データを加えても総人数が1千4百名程度と少なく、
かつ高度肥満は全体の5%(73名)にすぎないので、選択バイアスが
ありそうです。減量を希望した約1千名が3ヵ月のスマートダイエット
またはスマートエクササイズで平均8 kg痩せましたが、
減量前に比べてコレステロール値が下降した人が約7割で、
残りの約3割は不変または上昇という意外な(?)結果でした。
その理由については、次回(第2回)に解説します。



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◆ Academic News ◆

【JAMA Network Open】
米国において、成人初期の減量と成人中期以降の死亡率との関連を
検討したコホート研究。対象者は、40~74歳の24,205人であった。
質問紙で、25歳時の体重、ベースラインの10年前の体重を聞き取り、
ベースライン時の体重を測定した。その後、10.7年間追跡した。
25歳時からベースラインの10年前までに、肥満から過体重に
減量できた人の死亡率は、肥満のままであった群と比較して、
死亡率が54%低くなっていた(95%信頼区間:23%~73%)。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2769426

【JAMA Network Open】
ダンスを利用した心身への介入が、高齢者の転倒予防に貢献するかどうかを
検討したシステマティックレビューとメタ解析。29件のランダム化比較試験が
採択され、研究結果をメタ解析によって統合した結果、ダンスプログラムは
高齢者の転倒リスクを37%減少させた(95%信頼区間:20%~51%)。
また、バランス能力の改善、移動能力の改善、下肢筋力の改善にも関連するが、
上肢筋力の改善には関連しなかった。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2770956

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◆ 気になる健康関連ニュース ◆

□ 進むコロナウイルスワクチン接種

世界69カ国・地域でワクチン接種が始まり、26カ国・地域で
1つ以上のワクチンを承認し接種開始の準備を進めており、
世界全体の累計接種回数は2月8日までに1億3473万回を超えた。
日本でもファイザー社のワクチンが2月12日、航空便で初めて
到着した。2月17日医療従事者への接種が始まり、4月以降に
高齢者、さらに基礎疾患のある人などへの接種後、一般向けの
接種がおこなわれる。欧米より2カ月遅れての接種開始となった。
気になるのはワクチンの副作用や効果である。副作用は、局所的な
症状として、注射した部位の痛み、赤みや腫れが起こることがある。
全身の症状としては、倦怠感や頭痛、発熱が起こる場合があるが、
この症状は55歳以上よりも16~55歳の方が多く症状がでているという
研究結果がある。また、強いアレルギー反応であるアナフィラキシー
ショックが発症する例もある。一方で感染前にワクチンを接種すれば
抗体ができ、感染しても発症しにくくなる。コロナウイルスの防止に
95%効果的であったという研究結果も出ており、重症化リスク、
死亡者数を減少すると期待がされている。

参考資料
・Polack FP, et al. Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine.
N Engl J Med, 2020. doi: 10.1056/NEJMoa2034577
・日経新聞 『チャートで見るコロナワクチン世界の接種状況は』

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◆ お知らせ ◆

□ 次号の発刊は、令和3年3月29日(月)です。
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休日の昼下がり、冬のコートを着て散歩にいくと、
思っていたよりも暖かくすぐにコートを脱ぎました。
春が近づいているなあと感じ心までポカポカになりました。

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