健康支援事業のコンサルティング会社
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■■        THF Communication !!      
■                   <No. 228>
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◆ What's New ◆
~最新のTHF関連トピックスを紹介します~

田中喜代次(筑波大学名誉教授)コラム

□エビデンス(研究結果)とファクト(事実fact)を考える
「健康の維持=運動が不可欠」という考え方が強い中、
一方的な価値観を押しつけないように気をつけなければなりません。
運動を音楽や芸能活動に置き換えてみるとよいでしょう。
特別な運動はやらないが、音楽なり芸能活動を一生涯にわたって継続している
健康長寿者が多いことに気づきます。女性と男性を比べてみましょう。
男女には明らかな生物学的相違点が存在することを横に置いて考えると、
体力(筋力、持久力、俊敏性など)に劣り、骨密度が低く、骨折や貧血の確率が高く、
加齢に伴うコレステロールの上昇率の高い女性のほうが長命です。
運動不足が体力や筋量や骨密度の低下を促進することは明らかですが(≒エビデンス)、
男性に比べてスポーツ活動への参加率の低い女性で平均7年も長命です(≒ファクト)。
コレステロールだけは男性に比べて女性で高く、しかも加齢に伴い上昇しますが、
心筋梗塞例が多い中年期時(≒エビデンス)に比べて、高齢後期では
コレステロールの高い群の死亡率がやや低いようです(≒ファクト)。
また、貧血だとがんが疑われますが、貧血は女性で多く、がんは女性で少ないです。
これらもファクトです。病気の発症や進展の機序は複雑で、一元的には説明がつきません。
各々の戦略的ゴールに向かった巧みな情報発信(操作)に利用されるエビデンスの正当性にも注視しながら、
確かなファクトに目を向けてスマートライフを維持していってほしいと願います。

前回のAcademic Newsの一つを掘り下げて解説します
【BMJ】https://www.bmj.com/content/368/bmj.l6669.long
米国での研究参加者約11万人を対象とした前向き研究の結果ですが、
健康的な生活習慣が慢性疾患(がん、心臓血管疾患、2型糖尿病)の
発症や早死に関係するとの報告です。
健康的な生活習慣とは、
①たばこを吸わない
②週に3.5時間(1日30分)以上運動している
③良質の食習慣を形成している
④肥痩度(BMI)が18.5~24.9の範囲内である
⑤適量のアルコールを摂取している、の5つです。
この研究によると、①~⑤の4~5つ条件に該当する健康生活者は
50歳男性で31.1年、女性で34.4年の余命(よみょう)となり、
2つのみの条件に該当する場合だと、余命が男性で4.4年、女性で5.3年短くなるとの推計でした。
また、健康的生活習慣を全く持たない群では、男性で7.6年、女性で10.7年も余命が短くなるとの推計でした。
以上より、①たばこを吸わない、②運動をする、③食生活に留意する、
④太りすぎず痩せすぎない、⑤アルコールは飲まなくても良いが、飲み過ぎず、適量に留めることで、
日本人でも余命が10年ほど長くなると推察できます。

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◆ Academic News ◆

【JAMA】
米国の40歳以上の4,890人(平均年齢56.8歳、女性54%)の歩数を評価し、
その後、平均10.1年間追跡し、歩数と死亡率の関連を検討した。
その結果、歩数が4,000歩未満の群と比較して、8,000歩以上であると
全死因死亡率が0.49倍(ハザード比:95%信頼区間0.44-0.55)、
12,000歩以上であると0.35倍(0.28-0.45)となった。
歩行強度との関連も検討したが、歩数で調整した死亡率との有意な関連は認められなかった。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763292

【Obesity Facts】
1回の動機づけ講義のみの減量効果を、ランダム化比較試験により検証した。
対象者は145人の日本人肥満者(平均年齢53.8歳、平均BMI 28.5)であり、
茨城県内の3市で実施した(つくば、水戸、筑西)。
1回2時間の講義を受ける介入群と講義を受けない対照群の3ヵ月間の体重減少量は、
それぞれ2.48 kgと0.65 kgであり、1.83 kgの有意な群間差が認められた。
https://www.karger.com/Article/FullText/506813

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◆気になる健康関連ニュース◆

□保健事業と介護予防の一体的実施
後期高齢者医療広域連合と市町村が中心となって取り組む、
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施が4月1日施行された。
新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されるが、体制整備の推進を呼びかけている。
特別調整交付金の今年10月の追加申請も活用し、それぞれの地域に合った
効果的な取り組みにつなげるよう求めている。
一体的実施は、国全体で進める健康寿命の延伸に向けた施策として、
重要な取り組みである。
そこで、厚労省は、令和6年までに一体的実施を全市区町村で展開することを目標に掲げている。

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◆ お知らせ ◆
□次号の発刊は、令和2年5月25日(月)です。
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